いつだか判らない時代、どこだか判らない世界
本当にありそうで、実際には無さそうな話
限りなく現実に近い、夢の中での物語
…昔、ある山間に、小さな村と、
廃校寸前の小さな小学校があった。
社会から忘れられ、歴史から取り残され、
ただ漠然と「在る」だけの世界
たとえ今忽然と消えたとしても、
社会に何ら影響は及ぼさない小さな村
モララー共和国 北モララ小学校 第3分校……
…ああ、今でも目を閉じれば
あの女(ひと)の笑顔が目に浮かぶ
…これより語られるは、
一片の意味も無い一幕、存在の価値が無い物語
緩やかに死んでいく世界で紡がれた、
脆弱な人々のオナニィの残滓である…
…彼らは、辛い現実に向かえず、
夢の中にまどろみまどろみ生きていた…
…しかし、そこには本当に何の意味も無かったのか?
何の価値もなかったのか?
…その答えを探す為に、私はこの物語を語ろうと思う。
弱く、醜く、けれど懸命に、
歯を食いしばって生きた、人間達の物語を……。